移りゆく風景、受け継がれる記憶(聖クララ修道院)

聖クララ修道院です。
伊礼さんのブログで見てからというもの
是非とも伺いたい場所の一つでした。

観光地ではありませんし
建築関係者でも何でもない一般人が訪問していいものか正直ギリギリまで悩みましたが
思い切ってシスターにお願いしたところ快く受け入れていただけて感謝です…

e0158983_7295021.jpge0158983_730556.jpg

しかし築50年とは思えない雰囲気の建物です。
修道院の入り口から中庭を眺めつつ、
ぐるっと回って聖堂に入ると柱のない大空間…。

斜面に開けたステンドグラスから陽光が、と思いきや
北側に面してるようで穏やかな雰囲気でした。
中庭側でも採光をしてる様子で
両方に視界が抜けるのが気持ちよい。
広いけれど落ち着く空間でした。

素材は想像より新しい感じだったので
最近改修したのかなとも思わせる感じです。
50年改修なしは当然無理ですよね…


e0158983_7301832.jpge0158983_7302030.jpg

ステンドグラスを通して見える風景はどんなかというと
左手に山があり、眼下には街並みが一望できました。
街のシンボルにもなっている建物ですし
とても見通しの良い風景…なのですが
斎場御嶽と同じく何かが足りない感覚がありました。

設計上、きっとここの風景を切り取るために窓を開けたはずで
その理由の何か今の風景に欠けてる気がしてなりません…。

案内していただいたシスターに
昔はどんな風景だったんですかね?と聞いてみたところ

「建物ができた当時はすぐそこまで海が来ていてね、ほらあそこのビルまで全部海だったのですよ」

ああ、すごく納得…
シスターの言葉通りに昔の海岸線を頭に思い描いてみると
山と街と海のバランスがものすごくよい感じ。

建物も変わるけれど風景も変わってしまうもので
当時の意図や雰囲気が変わってしまうと
本来の場の空気が弱くなってしまう。
空間は建築など単体で場は成り立たず
色々な意図が重なり合って場となり得ている。
もしこの建物が失われてしまうと
街からの風景が変わり、
ぽっかりと穴が空いてしまうのでしょう。

なるべく変わらずにいて欲しい。
けど変わっていくのは止められない。
でも誰かにその記憶や記録を渡すことで
原風景は受け継がれていく。

自分も記憶を受け継ぐ一人になったことに
思いもしなかった感慨を受けました…


50年前の風景を心に留めて
ゆっくりした時間を過ごさせていただきました。
思い切ってお願いして本当によかったです。
ありがとうございました。
[PR]
by hamahama77 | 2011-09-14 07:13 |


<< 夜のオープンハウス 第三夜 神の住まう場、繋がる場 (斎場御嶽) >>